One of Them〜第一幕〜『下書き』



男はそのまま教卓に立つ。

「えー、君たちの教育担当係兼司令官となる白馬コウ<ハクバ-コウ>。よろしくね」

(うわぁ、もうどっから突っ込めばいいかわかんねぇ……)

(見るからに馬鹿そうなんだが大丈夫か?)

(………なんか可愛く見えてきた)

それぞれコウを見て思うところがあるみたいだが「じゃあーまずは…」と話そうとすると耳を傾ける。

「まずは自己紹介からだね。名前、得意実技、好きなものと嫌いなもの、あと将来の夢を言ってくれ。

因みに僕の得意実技は手刀と短刀。好きなものは色々ある。嫌いなものは主に子どもかな。将来の夢……はまぁ大人だしなくていいかな」

(子ども嫌いで教育務まるの?)

サヤはいやな予感しかしないと思ってこれからが不安になってきた。


「はい、まずはそこの元気そうな君から」

「俺の名前は大地ソラ!得意実技は大剣っす!好きなものはご飯!嫌いなものは勉強!将来の夢は世界に名を残す大剣使いになること!んで、国の英雄になるんだ!!」

相変わらずの元気っぷりで言うソラにコウは苦笑いになる。


「(この元気さがいつまでもつかな…)元気でよろしい。はい次」

「名は古宿シン。得意実技は弓。好きなものは特にない。嫌いなのは甘いものだ。将来の夢は……特にねぇな」

「……………」

何か含みのある言い方に聞こえたような気がするがサヤはあまり気にしないことにした。

「(弓矢使いで名を馳せてる一族の当主の息子か。なかなか実力をもってそうだ)はい、最後に女の子」

「星月サヤ。得意実技は魔法…といっても2人ほど優秀ではないのであまり期待はしない方がいいですね。好きなものも嫌いなものも特にはないです。将来の夢は…まぁ死なない程度に普通に生きていればそれで」

「なんだよ、つまんねぇな。しかもほとんど曖昧だし」

「まぁまぁ秘密が多いのは女の子の特権ということで」

文句を言うソラにサヤはサラッと躱して「以上です」と終わらせる。


「(星月一族の生き残り…。ある意味注目人物だけど………筆記も実技も中の下。第1部隊についていけるのだか)はい、それぞれありがとう。今日は顔合わせだけだから解散。明日から特訓やら任務やらやっていくからこれからよろしくね!」


コウの言葉で全員解散となり皆それぞれ家に帰っていった。




< 8 / 18 >

この作品をシェア

pagetop