【エッセイ】『願はくは花のもとにて』
忘れてはいけない日がある
もうすぐ春が来ます。
最近はウンザリするような話柄だの、悲しいニュースだの、もう聞き飽きた話題だの耳にさせられて筆も鈍り勝ちですが、3月11日にまつわる話だけは、書かなければならない。
うちの一番の親友に、ヒロポンというニックネームの岩手の友達がいます。
うちがバッシングされてたときも、仕事がうまくゆかないときも、ヒロポンだけは裏切らなかった。
今では一番の親友で、なんでもヒロポンには話してます。
たまたまヒロポンの家は沿岸から少し離れた山に近かったので、津波の被害はなかったんですが、やっぱり心理的な傷はあったみたいで。
それでもツラいことなんか、あったに違いないのに、うちにはそんな顔は見せない。
うちなんかイヤなことがあったら、辺り構わず平気で不機嫌になるのに、ヒロポンは言わない。
そんなとき、うちはヒロポンを尊敬します。
「なんと気持ちの寛やかな人であることか」
と。
うちはヒロポンには勝てない。
それは、うちが気持ちの小さな人間であることを自覚しているから。
たまたま知り合ったのは些細なことで、でも律儀なヒロポンがいたからうちは、今まで頑張って来れた。
ヒロポンには勝てないから勝ちたいとは思わないけど、ああいう強い人間にはなりたい…そう思ったりします。
持つべきものは、友だよなぁ。