【エッセイ】『願はくは花のもとにて』
作品の裏話「そろばん隊士」編
ようやく「そろばん隊士」の幕末編を書き終えて、ちょっとばかり安堵してます。
このあと明治編があるんですが、ここからは主人公の事績が詳しく分からないんで、ここからフィクションを書く力が試されそうです。
敢えて「斬り結ばない新撰組」を書きたかったのは、家庭に仕送りをする隊士の話はあるのに、なぜお金の話がないのかが不思議で、だったら勘定方の話を書いてみようと思ったのが切っ掛けです。
しかし。
資料を読んで行くと、誰が斬られたとか事件とかはだいたい年表にあるんですが、給与額とか手当ては分からなかったんですね。
そこで違う資料を当たると、
局長 50両
副長 50両
副長助勤 40両
隊長 30両
伍長 20両
平隊士 10両
という給与体系が見えてきたんですね。
本文にも書きましたが当時は家族5人が楽に暮らすのに1両2分必要やったってのを考えると、いかに命懸けとはいえ、かなり高給取りな仕事やったってのがよく分かります。
こうした大金、しかも公金を扱うセクションが勘定方でしたから、無論金額の間違いは許されない訳です。
見回りとはまた違った緊張があったのかなと。
ただ平隊士から副長助勤にジャンプアップする場合もあれば、平隊士に落とされる場合もあったんで、さながら年俸制のプロのアスリートのような感はあったのかなと思います。
しかも戦力外通告とかもある訳ですからね。
そうしたなかで、われわれが知るイメージの新撰組って生きてたんですねー。
さらに。
あの青い段だら羽織、蛤門の変以降はほとんど作られることもなく、最後の時期は縫い付け式の袖章を黒羽織にみずから縫い付けて、見回りとかしてまして。
裁縫する武士、画的にはパンチきいてますけど…だからなんなんだってね。
でもそうした世界の中で、彼らはそろばん隊士として生きてゆくわけで。
明治編、ざっくりとした構想はありますけど、さて…どう料理するか。
あとはお楽しみというとこですかね。