絵本 短編集
「危なかったですね。でもこれだけ離れてしまえば、もう大丈夫でしょう」
フクロウはホッホッホッと上品に笑います。
けれども、うさぎは首をかしげました。
いったい何が危なかったというのでしょう?
「君はもう少しで、あの恐ろしい狼に食べられてしまうところだったのです」
「いいえ。狼さんはわたしを育ててくれました。毎日ごはんもくれるんです」
「それはね、小さな君をブクブクと太らせてから食べるつもりだったのです。そう、君の親を食べてしまったように……」
うさぎはびっくりしました。
ずっと待っていたお父さんうさぎとお母さんうさぎは、あの狼に食べられてしまったというのです。