届くなら、あの日見た空をもう一度。
「じゃあ要のこと頼むわね」
そう言って母さんたちが帰ってしまうと久しぶりに兄貴と二人きりになった。
兄貴は俺がこっちで進学すると聞いて一緒に住むことをすぐに快諾してくれた。
「ちょうど部屋変えようと思ってたんだ」とロフト付きの1LDKを探してくれ、俺はロフトに自分の荷物を運び込んだ。
「びっくりしたよ。
まさか高校からこっちにでてくると思わなかった」
「こっちのほうが学校たくさんあるし」
俺は荷ほどきをしながら適当に誤魔化す。
「菜乃花もいるしな」