届くなら、あの日見た空をもう一度。

「最近菜乃花と連絡取れないんだよな」

兄貴がこれ見よがしによく通る声でなのねえの話題を振ってくる。

それに俺はバカみたいにまんまと反応した。

「なんかあったの?」

「それが分からないんだよ。

誘いに乗ったことこそないけど返信までしてこないなんていままでなかったのに」

いままで。

兄貴はいままでで何回なのねえと連絡を取っていたんだろう。

俺がいない間もなのねえと兄貴の間に交流があったことが恨めしかった。

「一回様子見に行ってみようかな」
< 158 / 465 >

この作品をシェア

pagetop