届くなら、あの日見た空をもう一度。

「俺が行くよ」

俺だってもうすぐ会える距離にいるんだ。

「四月まで暇だし、俺が行く。

なのねえの住所教えて」

「なんだ住所も知らないのか。連絡先は?」

「知らない」

どうせ会いに行けないからと住所を聞いていなかったことも、切り出せなくて連絡先すら知らないままでいたことも後悔した。

兄貴はいつなのねえと連絡先を交換したんだろう。

「〇八〇……」

「何?」

「菜乃花の番号」

「待って!」

俺は慌ててスマホを探した。
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