届くなら、あの日見た空をもう一度。

「別にいいよ、そのままで」

そう言ってかなちゃんはまた小さく笑う。

「でも、いくらなんでも……」

「じゃあ俺も手伝う」

のろのろと片付ける私と違ってかなちゃんは手際よく散らばっている服やゴミをまとめていく。

お陰で座るスペースがあっという間にできあがった。

「ありがとう。あの、コーヒーしかないんだけど……」

「うん。手伝おうか?」

「だ、大丈夫。ってか、本当ごめんね。キッチンは部屋の比じゃなく、あの。よ、汚れてて……」

「じゃあ待ってる」

久しぶりにキッチンに立ちながらソファに座るかなちゃんを盗み見る。
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