届くなら、あの日見た空をもう一度。

一瞬だった。

あの子がいた生活は一ヶ月にも満たない。

本当に。

ほんの僅かな時間だった。

それはまるで真夏の夕立のように。

突然現れて雨が地面に染み込むように。

あの子の存在が。

あの子と過ごした時間が。

全てを失って空っぽだった私に染み込んで。

大きく。

大きく。

広がっていった。

< 2 / 465 >

この作品をシェア

pagetop