届くなら、あの日見た空をもう一度。

かなちゃんは私の問いかけに答えながらも黙々と手を動かしている。

強く降る雨の音にシャーペンの音が混じる。

「なんでこんなに早くにこっちに来たの?」

ずっと疑問だった。

入学の準備があるとしたっていくらなんでも引っ越してくるのが早すぎる。

「かなちゃん?」

部屋の中に雨とシャーペンの音だけが響きわたる。
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