届くなら、あの日見た空をもう一度。

「コーヒー淹れようか」

なんだか胸が詰まってしまって。

なのに立ち上がりかけた私の腕を、私のより少しだけ温度の高い手が掴んだ。

「仕事は?」

「前のところは辞めたんだ。いまは新しいところ探してるの。

要するにプー太郎ってやつ?」

私って嘘つきだな。

夢の中で言われた通りだ。

掴まれた腕が熱い。

かなちゃんの熱がどんどん伝わってくる。
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