届くなら、あの日見た空をもう一度。
チャイムを押しても物音一つしない部屋に思いっきりため息をつきながら、さっきまでの舞い上がってた自分を恨んだ。
春休みの俺とは違い社会人にとったら今日はなんでもない平日だ。
そんなことになんで気づかなかったんだろう。
せめてまずは連絡をいれるべきだった。
ポッケにしまってあるスマホを取り出して昨日兄貴から教えてもらったばかりの番号にもう一度にかけてみる。
仕事なら今日は会えないかもしれない。
でもこのまま帰るなんて嫌だ。
何回かコール音が繰り返された後、二十分前と同じ機械音声が流れる。