届くなら、あの日見た空をもう一度。
両手にマグカップを持ってなのねえがキッチンから戻ってくる。
改めて目にしたなのねえはさっきより落ち着いてはいたけどそれがかえってその変化を際立たせていた。
不健康なくらい痩せ細った体。
唇にも肌にも瑞々しさはなく、纏っている空気はいままで感じたことがない重さを持っている。
でもそれがなんなのか。
何が原因なのか。
俺には想像すらもできない。
「何かあった?」
だから聞いた。
悔しいけどいまの俺には聞くことしかできなかった。
たった十五年の経験じゃなのねえの抱えているもののほんの一部ですら想像もつかない。