届くなら、あの日見た空をもう一度。

そんな俺の気持ちなんかこれっぽっちも知ることなく、電車はまたスピードを落とす。

走りたかった。

飛び降りて、いますぐ駆けて行きたかった。

でも何度スピードを落とそうと。

何度止まろうと。

俺が走るのよりも電車のほうがはるかに早い。

それは絶対だ。

子供でも分かる。

それでも電車がスピードを落とすたび、時間がどんどん過ぎてしまってるようで気持ちはどんどん焦った。
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