届くなら、あの日見た空をもう一度。

「そうだ!」

そう言って菜乃花は上着のポケットを探る。

「貰ったの!サービス券!

かなちゃん!私いま、すっごくあそこのコーヒーが飲みたいな!」

「行く?」

「私、お財布持ってないよ?」

「だろうな」

きっと飛び出してきたんだろう。

上着も着ずに空を見上げていた姿を思い出す。
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