届くなら、あの日見た空をもう一度。

ーーー

ーピンポーン

遠くでチャイムの音が聞こえる。

誰が。

何をしに。

どうでもいいか。

いまは誰にも会いたくない。

親だろうと、友達だろうと、見知らぬ他人だろうと誰にも。

さらに体を小さく丸める。

息を潜め、だけど視線だけはなぜかドアを見つめていた。

誰にも会いたくないはずなのにそれでもドアから目を離すことができなかった。
< 80 / 465 >

この作品をシェア

pagetop