届くなら、あの日見た空をもう一度。
第二章 『それは絶対に変わらない大切なこと』
中学を卒業したら東京に行こう。
俺がそう決意したのは中学校に進学して僅か四ヶ月が経った頃だった。
特に行きたい高校があった訳でも、東京に憧れてた訳でもない。
ただあの人達に追いつきたい。
それだけの理由だった。
それでもその理由は俺という存在のほとんどの部分を占めていた。
両親の説得。
進学する高校。
住む場所。
そういったものに俺はひたむきに力を注いだ。
それはとても心地の良い感覚だった。