届くなら、あの日見た空をもう一度。
両親は東京の高校に行くことにさして反対はしなかった。
有り難いことに理由も深くは詮索してこなかった。
もしかしたらなんとなく察していたのかもしれない。
両親の説得よりも東京へ行きたい理由を聞かれたらなんと言おうか考えあぐねていたからそこを深く突かれなかったのは本当に助かった。
だから俺もそのことを考えるのをやめた。
だってこんな理由を親に知られているなんて恥ずかしすぎる。
両親は東京へ行く理由を尋ねる代わりに条件を提示した。
“どの教科の成績も平均よりも上を取って卒業まで維持すること”
”寮のある学校か修司の家から通える範囲の学校に合格すること”
“滑り止めは地元の学校を受けること”