届くなら、あの日見た空をもう一度。
反抗期真っ盛りの俺は母さんの言葉に素直に従うのは不本意だった。
だったがにやにやとからかうような母さんの目から逃げるためにそそくさと自分の部屋に避難した。
去年兄貴が出ていってから広くなったはずの部屋が散らばった漫画やゲームで狭くなったように感じた。
物が散らばってても文句を言う人はいない。
いつもは有り難いそのことが今日は無性に俺を不安にさせた。
いつだって俺ばっかり置いてけぼりだ。
十歳上の兄貴とその一つ下のなのねえ。
俺とは歳が離れているため二人が進学したり俺には全く理解できない難しい勉強をしたり思春期特有の空気を纏わせているのを見るたび、俺は仲間外れにされたような。
なんともいえない居た堪れさに襲われた。