パーフェクト・インパーフェクト


話し上手で聞き上手なお兄さんにかかれば、1時間のドライブなんてあっというまだった。


結局わたしばっかりがしゃべってしまっていた気がするけど。

それも、だいたいがお仕事のことだったかも。


皆川さんは話題を引き出すのがとてもうまいんだ。


人のしゃべりたいことをしゃべりたいだけしゃべらせてくれる。

相槌もいい感じにうっとうしくなくて、ウンウンってシンプルなのに、ここぞというときにちょうどいいコメントをくれて。


助手席に座りながら、女の子に困ったことなんて一秒もないだろうな、と何回も思った。


顔だっていい具合に整っているし。

雪夜のような、完璧なつくりもの感みたいなのはないけど。


なんというか、もっと、温度を感じる。

笑うときにいつも困ったように眉毛がちょっと下がるのとか。

それがすごく優しくて、やわらかくて。


それでもすっと通った鼻筋には強い意志のようなものが見えた。


わたしより6年分だけ長く生きてきた人。

このきれいな横顔はなにを見て、なにを思って、いまここにいるんだろう。

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