パーフェクト・インパーフェクト
「……いろいろ、女子には見られたくない事情があるので。いったん席を外してもらえませんか?」
さっきまでひっついて歩いていたくせにいきなりそんなことを言い出した小娘に、6歳年上のお兄さんはなんとなく察したように小さく笑い、わかったよ、とドリンク売り場のほうへ向かっていく。
彼がこっちを見ていないことを確認しつつ、サッと黒色のパンツを懐に隠した。
ほかにも必要そうなものをいろいろ手に取り、さあレジに向かおうと息巻いたところで、棚のいちばん下の段のいちばん端っこにちょんと居座っていたそいつと、わたしはついに出会ってしまったのだった。
こ、これはもしや巷で噂のコンド(ダメだ最後まではとても言えない)。
急にまた全身の毛穴から汗が噴き出してくる。
彼の家にも、こいつがいたりするのだろうか。
もしいるのだとしたら……今夜わたしは、ご対面することになるのかな。
ちょっとそのあたりはとりあえずは考えないようにしておこう。
でないといまにもこの場で失神してしまう。
こんな寒いなかアイスクリームを物色していた彼に、レジを済ませてから声をかけると、お会計するなら言ってくれればよかったのに、とこんなところまでも困った顔をされた。
そうは言ってもパパでもない男性にパンツを買ってもらうわけにはいかない。
いや、パパでもかなり嫌なのに。
中身を悟られないようさりげなく隠しつつ、わたしは再び彼の左側におさまり、黒い車に夜のなかを運ばれた。
深い時間が近づいている。
気づけば、あと2時間もしないうちに日付が変わる。