パーフェクト・インパーフェクト
「……わたしってそんなに魅力ないですか」
「そんなことないよ」
「うそ。子どもだって思ってる」
「それはまあ、思わないことはないかな」
困ったような笑顔が嫌で、首に腕をまわし、鎖骨のあたりにオデコをくっつける。
そしたらそのままひっぱり上げられた。
彼の膝の上にお尻を乗せて、向かいあうかたち。
抱っこされている。
「だって、でも、年齢はどうしようもないです」
こんなしょうもないことで泣きそうだった。
なぜ、彼の6年もあとにわたしを誕生させたのか、いますぐ神様に文句を言いに行きたいくらいだ。
「まあ、そうなんだけどさ」
彼はわたしと裏腹に、笑って言った。
「ごめん、許してほしい。まだ未成年なんだなって思うとどうしてもストッパーがかかるんだよ。おじさんになるとダメだな、何事にも慎重になりすぎる」
「……25歳はおじさんじゃないですケド」
「でもやっぱり10代のコにはびびるよ」
10代とか、20代とか、そういうの、やだな。
彼の10代のころをわたしは知らないんだって思うと、なおさら。
「たしかにまだ19だけど、もう少しではたちだもん」
「6月だっけ?」
「うん……」
すりすりと首元にオデコを押しつける。
ぽこぽこ、頭を撫でられる。
「じゃあ6月まで順番に練習して、はたちになったときまだ俺のこと好きでいてくれたら、全部もらおうかな」
そんなの、好きに決まってる。
だからその前にぜんぶもらってほしいのに、きっと彼も譲らないつもりなんだろうなって、確認しなくてもわかった。
果てしなく優しいけど、実はすごく頑固な人だ。
だってそうじゃなきゃきっと、家族を捨ててまで、自分の夢を追いかけたりしない。