パーフェクト・インパーフェクト


「でも学生のうちから結婚相手が決まってるって、いまどき信じられない話だよな」


彼は妹さんのこと、好きでも嫌いでもないと、どこか冷たく言ったけど。

本当は、とても気にかけて、心配しているんじゃないのかな。


もしかして、後悔……しているのかな。


「やっぱり、いつか、いつになっても、どれだけ時間がかかっても、仲直りできるといいなあ……」


ひとりごとのつもりだった。


もうじゅうぶんにくっついているのに、もっと近くへ抱き寄せられる。

髪を撫でられているうちにまぶたが鉛のように重たくなっていく。


「ありがとう」


まどろみのなかでかすかに届いた声は、とても穏やかで、やさしかった。

ちゅ、と額に落とされたキスはきっと現実だったと思うけど、ひょっとしたら、夢のなかの出来事だったかもしれない。




< 194 / 386 >

この作品をシェア

pagetop