パーフェクト・インパーフェクト
「でも学生のうちから結婚相手が決まってるって、いまどき信じられない話だよな」
彼は妹さんのこと、好きでも嫌いでもないと、どこか冷たく言ったけど。
本当は、とても気にかけて、心配しているんじゃないのかな。
もしかして、後悔……しているのかな。
「やっぱり、いつか、いつになっても、どれだけ時間がかかっても、仲直りできるといいなあ……」
ひとりごとのつもりだった。
もうじゅうぶんにくっついているのに、もっと近くへ抱き寄せられる。
髪を撫でられているうちにまぶたが鉛のように重たくなっていく。
「ありがとう」
まどろみのなかでかすかに届いた声は、とても穏やかで、やさしかった。
ちゅ、と額に落とされたキスはきっと現実だったと思うけど、ひょっとしたら、夢のなかの出来事だったかもしれない。