パーフェクト・インパーフェクト
✧︎*。


すぐ隣の県で先日成人式を終えてきた、ひとつ年上の親友の振袖姿は、まさに圧巻だった。

外国人な顔立ちをしているくせに着物をこんなにも美しく、かっこよく着こなせてしまうポテンシャルには、同じ仕事をしている身としては正直、嫉妬すら覚えてしまう。


「黒地なのほんとリアっぽい! 似合ってる!」

「えー、へへ、アリガト。黒にしようってのはずっと決めてたんだよね」


深い朱色のリップと、シンプルなオールバックのポニーテールも、全体的なスタイルとして非の打ちどころがないほど完璧だ。


「どうだった? 成人式、楽しかった?」

「うん、いっぱい飲んだあ」


すぐにお酒の話をしたがるのだから困る。


「そうじゃなくて! こんな美人が現れてさ、同級生たちもびっくりしてたんじゃない?」

「そうでもないよ。ふつーふつー」

「うっそだあ。なんで急にケンソンするわけ」

「だってマジでふつーだよ、みんないっしょに授業受けてた友達だもん。アンちゃんも来年きっとわかるよ」


でも、
と、リアはなにかを思い出すようにちょっと笑って。


「昔さ、好きな男の子に告白したら『ガイジンは無理』って断られた話ってしたっけ?」

「……なにそれ。聞いてないよ」

「あれー、そうだっけ?」


なんでもなさそうに、本当にさらっとしゃべった。

思い出のひとつみたいな言い方だった。


だけど、こちらは、まったくもって聞き捨てならない。


だってあまりにも最低すぎない?

好きになった人に、勇気をふりしぼって想いを伝えたら、そんな言葉が返ってくるなんて。

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