パーフェクト・インパーフェクト
✧︎*。


日曜の夜10時から放送中のトーク番組に出演することは、本当に急に決まった。


男女3人のパーソナリティに、ゲストひとり。

特に盛り上がるようなコーナーがあったりするわけでもない、本当にしゃべるだけの番組。

でも恋愛の話とか、そういうのもふつうに振られるから、いまのわたしにはなかなか要注意かもしれない。


「実は、もともとリアちゃんが出る予定だったらしいんだけど」


なんとなしのいけちゃんの言葉。


ナルホド、だからこんなにも急な話なのか、

と納得してすぐ、別な感情がむくむくと育つ。


代打出演ということへの不満。

そして、なぜリアが出演を断ったのかという疑問。


「リア、なんで出ないの?」


後者の気持ちのほうが少しだけ勝った。

そういうつもりなんて毛頭なかったのに、少し強い言い方になってしまったかも。


いけちゃんが首をひねった。

本当に知らなさそうな顔。
しらばっくれているわけではなさそうだ。


「さあ。でも、なんかあのコ最近、仕事セーブしてるみたいね。今度のピンの表紙も自分から降りたみたいだし……」

「え……そうなの? なんで?」

「知らないよ。むしろそういうのは杏鈴のほうが詳しいんだと思ってたよ、あんなに仲いいんだから。体調が悪いとかじゃなくて?」


体調は、たぶんすこぶるいいよ。
わからないけど。

リアはものすごい頭痛があっても、吐き気があっても、いつも通りの笑顔で現場にやって来て、元気に挨拶して帰っていく“プロ”だから。


本当にすごいなって、いつも感心する。

もちろん、たまに心配にもなる。

リアはなにかあっても自分からしゃべるコじゃないのだ。


なんとなく、急にいてもたってもいられなくて、すぐにゴハン行こうと連絡を入れた。

ふたりでよく行っている焼肉屋に行きたい、との返事。


よかった。
ひとまず体調はべつに大丈夫そう。

リアが焼肉に行きたがるのは、イコール、ビールを飲みたいということだ。


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