パーフェクト・インパーフェクト
「でもさあ、成人式であいつと再会して、すごい……なんだろうな、チヤホヤされて。なんか、急激に冷めちゃった。ミッションコンプリートしちゃった、みたいな」
「……わたし、その男のことほんとに嫌いになりそう」
「あはは! アンちゃんはねー、たぶんホントにあいつとはあんまり仲良くなれないと思う」
ちゃんと吹っ切れているのは重々承知だ。
ジョニーズジュニアとも、メンズモデルとも、俳優とも、さんざんつきあってきて、いまさら中学時代の片想いに引っぱられたりはしていないだろうし、リアがそういう未練がましい性格じゃないこともわかっている。
だけど、と思ってしまう。
どうしても、その男のせいでリアがわたしの隣から消えてしまう気がして、しょうがないんだよ。
絶品のはずのハラミを食べたけど、ぜんぜんおいしくなくてびっくりした。
「正直ね、ほんっとーに悩んだ。ここ最近は知恵熱でるくらいには悩んでた」
「そんなになるくらいなら相談してくれてもよかったのに」
「ごめんね。ひとりでゆっくり考えてみたかったんだ」
それに、とつけたして。
「アンちゃんに相談して、やだって引き止められちゃったら、あたし絶対、モデルやめらんないと思ったから」
ということは、もうリアは自分のなかで答えを出して、決めてしまったということだ。
すでに仕事をセーブできているということは、事務所の人やマネージャーさんにも報告済みだということだ。
きっと、そう遠くない未来。
――リアが、カメラの前からいなくなってしまう。