パーフェクト・インパーフェクト
「……やだ……」
思わず本音がこぼれ落ちた。
でも、そっちだって勝手に決めてしまったんだから、こっちも本音ポロリするくらいは許してほしいよ。
だってどうにも寂しいんだもん。
友達と、同志と、ライバル。
3つもいっきに全部なくしちゃうなんて、こんなことある?
「ねえアンちゃん。縁が切れるわけじゃないよ。これからは別々の場所でいっしょにがんばってくだけじゃん」
置いていくより、置いていかれるほうがずっと寂しいんだ。
そんなのぜんぜん知らなかった。
「ちょっとだけ、整理する時間ちょうだい」
だけど、そんなぴかぴかの希望に満ちた顔を見せられて、それでも駄々をこねるなんてできない。
「ちょっとだけ待ってて。ちゃんと自分のなかで整理して、気持ちが落ち着いたらぜったい『がんばってね』って言うから!」
中学時代の片想いを引きずっているわけじゃない、100パーセント前向きな気持ちで、リアはファッションモデルをやめるんだ。
もともと夢見ていたことを本気で追いかけようとしているんだ。
リアはこれから、自分のためだけに、自分だけの道を歩いていく。
すごく素敵なことだ。
こんなにハッピーな報告はきっとない。
だけど、リアが寄り道をしていたこの場所で、出会ってくれてありがとうって、本当に思うから。
だから、すごく、すごく、さみしい。
そう感じてしまう心は間違いじゃないよね。
だから、今夜はいっぱい泣いてもいいよね。
リアが困ってしまわないように、ちゃんと、ひとりきりで泣くから。