パーフェクト・インパーフェクト
「……杏鈴には、無理なんだよ」
ぎゅうっと抱きすくめられた。
痛くて苦しい。
雪夜はやっぱり、優しくするのが上手じゃないね。
「そいつは上級者向けだって言っただろうが。おまえはおとなしく、おまえを好きな男に、もういいってくらい愛されんのが向いてんだよ」
制服をぐちゅぐちゅに濡らしてしまった。
だけど雪夜は文句は言わないで、もうなんにも言わないで、気が済むまでこうさせてくれた。
ひょっとしたら雪夜の言うとおりなのかもしれない。
皆川俊明という男は、わたしみたいなへなちょこが手を出していいような案件ではなかったのかもしれない。
でも、ダメなんだよ。
恋をしてしまったから、理性的な判断なんて、もうできない。
これからずっと、永遠に、わたしの片想いだとしても。
それでもわたしは、彼を好きなんだ。
もう自分ではどうしようもできないくらいに、大好きなんだ。
好きな気持ち、頭で考えて、ダメだって、簡単にやめられない。