パーフェクト・インパーフェクト
✧︎*。


ずっと、もやもやしている。

もやもやの正体、整理すればきっと簡単にわかるのだろうけど、全部ぐちゃぐちゃにしたままで、ずっと放置している。



「遅くなってごめんね。これ、ホワイトデー」


いきなり、目の前に淡い色のなにかが差しだされていた。

彼の部屋、いつものソファで、お風呂上がりにぼけーっとテレビを見ていたとき。


驚きつつ、テレビから手元にピントを合わせる。

差しだされていたのはピンクが基調のミニブーケだった。


「えっ、か……かわ、かわいい!」


ホワイトデーのお返しで、いや、そうでなくとも、花束をくれる男の人というのに、生まれてはじめて出会ったよ。


彼はいつも本当に、どこまでも王子様みたいなことをする。

そして花束が似合う。
キザなことが似合う。

いい意味で。


手のひらにおさまるサイズを両手で受けとり、ありがとうと伝えると、どういたしましてと優しく返ってきた。


「ねー、すごいね、かわいい、うれしい」


花とか、ぶっちゃけぜんぜん興味なかったけど。

好きな人からもらう花束がこんなにうれしいものだとは思わなかった。


100本のバラの花束でプロポーズみたいなの、うわ~サム~と思っていたけど、たぶんわたしは彼にそれをされたら大号泣しちゃうタイプの女だろうな。

いま確信した。

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