パーフェクト・インパーフェクト


あんまりうれしくて、ブーケをくるくる回しながらいろんな角度から見ていると、たまにチカチカ光る輝きと目が合った。


なんと、これ、スパンコールがあしらわれている。

ただの花束じゃない。

おしゃれ。
超かわいい。


「キラキラしてる!」


思わず声を上げると彼が笑った。

気がついてくれてよかった、と、ほっとしたように言う。


「ほんとは、こっちがメイン」

「え……」


彼の指が伸びてきて、輝きを拾い上げたというよりは、抜き取った。

ビビットなンク色の小さな石。


これ、スパンコールじゃなく、ピアスだ。


「このまま気づかれなかったらどうしようって冷や冷やしてた」


この人、どこまで王子様なことをしてくれば、気が済むわけ。


ずるい。

本当に、ずるい。


「た……高そう……」


なんかもうよくわからなくなってしまって率直な感想がこぼれ落ちると、彼が声を上げて笑った。


完全に素の笑い方。

わたしのいちばん好きな笑い方。


「すごい安物ってわけでもないけど、そんなに高かったわけでもないよ」

「ほんと? これ、なんていう石? ルビー? ピンクサファイヤ?」


ルビーにしては赤みが弱すぎるし、ピンクサファイヤにしては色が濃すぎる。

ビビットな輝きはすごく特別で、ドンピシャ、わたしの好みだ。


「ピンクスピネル、だったかな。宝石はあんまり詳しくなくて。年下のかわいい女の子にあげたいんですけど、ってお店の人に見繕ってもらった」


見繕ってもらったのはきっと本当だろうけど、そのせりふは、ぜったい嘘だな。

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