パーフェクト・インパーフェクト
お腹にまわされている指を掴むと、そっと絡んで、手が繋がった。
「……いちゃいちゃする気分デスカ」
「それはいつもそうだよ。我慢してるか、してないかの違い」
「息を吐くように嘘つくの、よくないデス」
彼が笑った。
肩に息がかかる。
そのまま、かぷりと噛みつかれる。
びくっと腰が浮いた。
「ほんと、咬まれるの好きだね」
「ちがう……し」
いつのまにかパジャマの下に侵入してきていた指が、遊んでいるように肌をなぞっていく。
吐息みたいな、声みたいな、よくわからないものが口からこぼれて、体が熱くなる。
耳の軟骨を噛まれた。
どうしてもびくびくしてしまう、言うことをきかない体と闘っていると、さっきつけたばかりのピアスにくちづけを落とされた。
だめだ。
えろい。
なんなの。
この人、ほんと急にえろくなる。
突然、6歳年上の男になる。
でも、きょうも、どうせ最後まではしてくれないんでしょう。
「……っ、ス、ストップ!」
「なに?」
「もう限界、むり、終わりっ」
「あれ、きょうは早かったね」
「いきなりスイッチ切り替えないで!!」
ごめん、と笑いながら言って、覗きこむみたいに頬にチュウをした彼は、本当にそれ以上なにもしてこなかった。
この完全なオンとオフのスイッチ、どこに内蔵されているんだろう。
もはや、どっちの彼がオンで、どっちの彼がオフなのか、わたしには判断もつかないけど。