パーフェクト・インパーフェクト
そのうち、トーク内容が恋バナになった。
けっこう掘ったことを聞かれたのでなかなか困ったのだ。
その様子を見ながら、彼がおかしそうにくつくつと笑う。
「すごい苦手そうにしゃべってる」
「だって! こんなわたしに恋バナ振ってくるほうが間違ってると思うよ! これリア用の台本なの、ぜったい変えてないの!」
これまでの恋愛遍歴とか、好きなタイプとか、聞かれても本当に困る。
しどろもどろになっててきとうに笑顔で誤魔化すわたしは最悪だった。
収録が終わったあと、いけちゃんにもけっこう怒られた。
いや、でも、だって。
こんなの、東大生にプロテインの話を聞いてるようなものじゃんね?
恥ずかしい。
やっぱりいっしょに見るのはよせばよかったかな。
それとも、めちゃくちゃ笑ってくれているから、これはこれでヨシとするかな。
30分の放送が無事に終わった。
内容の出来はともかく、顔が引きつっていなくてよかったし、変なことを口走っていなかったのも、本当によかった。
「おもしろかった」
彼がからかうように言った。
恋愛遍歴も、好きなタイプも、わたしには経験がないからぜんぶ彼についてしゃべるしかなくて、それは当人も重々承知みたいだった。
俺のことばっか、
などと、恥ずかしげもなく言い放つ。
「だって俊明さん以外に知らない……」
「うん。『わたし超一途なタイプです』って言ってたもんな」
「またからかう!」
「からかいたくなるよ、かわいいから」
最近、いじわるの割合が少しずつ増えてきたような感じがする。
もちろんそれでも優しいのほうがダンゼン多いのだけど。