パーフェクト・インパーフェクト
そうか、あと、3週間。
じくり、
ほんの少し切ないような胸の締めつけに目を閉じると、彼が今度はトーンを落としてしゃべり始めた。
「……その前に、実家に、ちょっと行こうと思って」
はじめ、なにを言われたのかぜんぜんわからずに、フリーズしてしまう。
「この1週間でかなり頭冷やして、いろいろ、考えてみたんだけど」
いつも流暢にすらすらしゃべる人だから、こんなふうに言葉を区切りながらゆっくり話すのってめずらしくて、そっと耳を澄ませた。
きっと、一言一句として、聞き逃してはいけない。
「俺、まだおやじに謝れてないんだ」
それはあまりにも切なすぎる告白だった。
「意地の張り合いをしてたのは確かだと思う。おやじの気持ち、わかったような気になって、ほんとは全然わかってなかった。18歳の俺は一言も謝罪できなかった。それだけは、ほんとは、言われた通りずっと心残りだったんだと思う」
鍵をかけられなかったのは本当だよ、
と、彼は眉を下げて笑った。
「あまりにも図星を突かれてほんとに動揺した。参ったな、どうしようかって思った」
だけど、困っているわけじゃない。
これは、どこか悲しい笑い方だったのだと、いまは、とても感じる。