パーフェクト・インパーフェクト


海老名SAはさすがの混雑具合だった。
平日の朝とは思えない。

身バレは正直あまり心配していないけど、腕を組みたかったから、念のためキャップは深めにかぶっておいた。


カフェでホットサンドを注文したら、好きなのかと聞かれたけど、いつも朝ごはんにホットサンドを定番みたいに作ってくれる人がいるのだからしょうがない。

もともと好きだったわけじゃなく、あなたとつきあっているうちに、いつのまにか好きになったんだ。


「ぜんぜん時間足りなーい!」


全部のお店を見てまわっていたら夜になりそう。


彼は、ゆっくりしていいよ、と言ってくれるけど。

さては女子の買い物欲をなめているね。


「俊明さんはなにも買わないの?」

「んー、手土産は買っていこうかな」

「実家に?」


つい反射で聞いて、すぐにシマッタと思う。

辛気くさいのはよくないといっても、いまのはさすがに、ちょっと軽すぎたかも。


「うん、実家と、お世話になった場所と」


だけど彼はなにも気にしていないように、いたって穏やかに答えた。

少しほっとする。


「なにがいいかな」

「うーん、定番のやつがいいんじゃないかなあ」


アレコレ悩むわたしの提案をうんうんと聞きながらも、最終的に彼はあまり悩まず、コーヒーベースの焼き菓子を手に取った。

けっこう、即決型らしい。

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