パーフェクト・インパーフェクト
まさしく作りもののように美しいそれが、ぐにゃりと、嫌な感じにゆがんだ。
「だけどもちろんそれ以上に中身だって見てる。それでね、それは絶対的に、わたしだけじゃないはずなの」
「……意味わかんね」
わからないだろうね。
雪夜は、きっとそれを、わかりたいと思っていないから。
「雪夜の周りにいるのはみんな人間だよ。冷たくされたら傷つくし、優しくしてもらったら同じことを返したいって思う。まあ……たまに、例外みたいなのもいるけどさ。でも心があるから、顔だけで100パーセント誰かを判断するなんて、しようと思ってもできないよ」
嫉妬しちゃうほどきれいな頬に、そっと手を伸ばした。
絶対に嫌がられると思ったのに、雪夜はわたしの手のひらを受け入れてくれた。
なんだか小さな子どもみたい。
いつまでも、守ってあげたくなってしまう、かわいい弟。
「だから、こわがらないで」
精いっぱいの願いみたいなものをこめて言った。
「雪夜に近づいてくる人ってね、みんな雪夜のことを『素敵だな』って思ってるんだよ。雪夜が大嫌いなそのきれいな顔は、弱点じゃなくて、魅力なの。みんながきっと欲しくて、だけど手に入れられない特別なものを、雪夜は持ってるんだ。だからその輝きを、こわがらないで、そっと心を開いて、見せてよ」
ウンと、やっぱり小さな子どものように、どこかしおらしく、雪夜は言った。
あんまりかわいくて、むぎゅうと抱きしめたくなったけれど、わたしたちはもう幼いころとは違うから、やめた。