パーフェクト・インパーフェクト
「……ねー、雪夜」
ポチポチ、一生懸命に文字を打っている横顔に話しかける。
んー、と面倒くさそうな相槌が返ってくる。
「もしさ、雪夜に少しでもその気があるなら、芸能界、本気で入ってみたら?」
「……は?」
「けっこう、おもしろい人いっぱいいるよ。たぶん向いてると思う。すっごい楽しいよ。雪夜だったらものすごいスターになれるよ!」
いきなりテイッとオデコを弾かれた。
なぜだ。
「言われなくてもそのつもりだっつの」
「えっ!」
「杏鈴ごとき、おれが軽々と飛び超えてやるから、せいぜい震えて待ってろ」
すでに圧倒的な敗北を感じつつ、わたしも同じように、オデコをテイッと弾いた。
雪夜と、今度はプロどうしとしてお仕事をいっしょにできる未来が、なんだか待ちきれないような気がした。