パーフェクト・インパーフェクト
どんなに息子がアレだとしても、ちあきおばちゃんの作るごはんは世界一おいしい。
「これってほんとに鶏の胸肉? ぜんっぜんパサパサしてない! すごーい!」
「そうよ~。アンちゃんデーは極力カロリー抑えめで作るようにしてるの」
おまけにこんな気遣いまでしてくれるから、国茂家で夕食をごちそうになるのはやめられないのだ。
週5ペースで遊びに来ているこの家は、わたしの部屋のちょうど3フロア下にある。
そもそもパパがこんなどでかいマンションの一室をいきなり買い与えてくれたのも、この一家の存在があってのことだった。
ママとちあきおばちゃんはイトコどうしだけど、パパと芳春おじちゃんは大学時代の友人なんだって。
そんな2組がどういう経緯で夫婦になったのかは、あんまりよく知らない。
「おれはムネよりモモのほうが好きだけどな」
すでに半分以上を食べておきながら文句を言うのは顔面偏差値99の男。
「胸とかももとかそういうヒワイな話、食卓でしないでよ?」
「ハァ? 頭湧いてんじゃね。キモ」
ちょっとした反撃のつもりがオーバーキルの攻撃力でぶっ倒された。
少しくらい、照れるとか、焦るとか、そういう反応を見せてくれてもいいのに。
そしたらたまには雪夜のこともカワイーって思ってあげるのに。
ほんと、なまいき。超むかつく。