パーフェクト・インパーフェクト
  ✧︎*。


服装も髪型もメイクも、たぶんこれまでにないほど悩んだ。


カワイイ系なのか、キレイ系なのか、カッコイイ系なのか、セクシー系なのか。

いったいどれがいちばん、彼にウケるのか。


なにもぴんとこなくて、3日前からひとりファッションショーを開催してしまった。


わたしは皆川さんのことをぜんぜん知らない。


奥さん(仮)はどんな女性なんだろう。

どういうところを好きになって、なにが決め手で結婚したんだろう。


あの幸せの塊みたいなテレビ通話を思い出して、なぜか胸がぎゅっと苦しくなった。

あの女の人にも、こうして服を選んで彼とのデートに出かけた日が、きっとあったはずなんだ。



「――お待たせ、しましたっ。おはようございます!」

「おはよう」


やっぱりスカートなんかやめとけばよかった。

と、助手席に乗りこむとき激しく後悔した。


本当は後部座席に座ろうと思ったんだ。

だけど先に運転手が腕を伸ばして助手席のドアを開けてくれたから、できなかった。

< 97 / 386 >

この作品をシェア

pagetop