君を好きになるって、はじめからわかってた。

「次は、これだ!」

 青柳くんが、張り切って決めて、辿り着いたのはジェットコースター。
 遊園地の定番といえば定番だけど……私……乗れない!!
 っていうか、乗り物全般ムリ!!
 結菜は知ってるから良かったんだけど……どうしよう。
 さっきまで乗ったのでギブなのに、これはさすがに息絶えそう。


 

 結局、断れなかった私は直角に上がる機体に緊張する。
 怖いとかそんなんじゃなくて……。
 
 ガタン……頂上に着いた途端、機体が急降下する。

 いやー!!!!!!!!!!
 出る! 出る! 腸が口から出る!
 気持ち悪い!
 お腹の下がゾワゾワするー!



「やっぱ、サイコー!!」

 地上に足がつくと、無邪気にはしゃぐ青柳くんに何もいえず、ベンチの脇に座りパンフレットを広げる。

 気持ち悪い……。
 とにかく、もうムリだよ。
 私の定番は……あった!
 ゴーカートに、お化け屋敷。
 あっ、巨大迷路とかできたんだ!
 後で、行きたいなぁ。
 っていうか、もう乗り物以外なら何でもいい。

「先輩、次はどこ行きたい?」
「えっ? 決めていいの?」
「もちろん」
「じゃ、お化け屋敷とか……?」
「へぇ~、意外。じゃ行こっか」

 あれ? 冷静に考えてお化け屋敷ってよかったかな?
 


「キャー!」

 前のグループの女の子が、悲鳴をあげてる。
 女の子といえば、やっぱりあんな感じなんだろうけど……私は……。


─────────────────────

「キャー!」
「このレーザーで感知して、あれが動くんだ」  
 
 結菜の横で私は毎回、お化け屋敷の仕組みを解説してる。
 過去に1度、生身の幽霊役ばかりのお化け屋敷に入って以来、機械だらけのお化け屋敷に恐怖を感じなくなった。

─────────────────────

 そして今になって 、青柳くんとお化け屋敷に入ったことを後悔してる。
 女の子らしくないって、どうなんだろう。

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