君を好きになるって、はじめからわかってた。

~ ある日の青ヤギくん ~

 午後の授業が全く集中できなかった。

 俺の頭から、保健室の先輩が離れない。

 美人だから彼氏はいるよな……。

 3年って校舎が違うから、会う機会ってなかなかないしな。
 この絆創膏も勿体なくて使えないし、お守りにでもするか。



 放課後。

 部活が少しは先輩のことを忘れさせてくれた。

 休憩時間になると、キャプテンの岩泉先輩がぼやいた。

「あいつ、また祐希をみに来てやがる」

 あいつ?

 先輩の目線を辿ると、体育館のドアに群がる女子が騒いでいた。

 その一番後ろに、あの先輩が!!!

「キャプテン!! あの1番後ろの人って知ってますか?」
「お前がバスケ以外に目向けるの珍しいな」
「一目惚れ……的な感じっす」
「はぁ!? どれ!?」
「1番後ろの2人組っす。左の……」
「待て!  まさか安井か!?」
「黒髪ロングの……」
「あいつは……辞めとけ。美人だけど怖ーぞ」
「知り合いっすか!?」
「知り合いを越えて幼なじみだ」

 キャプテンは、ため息を吐いた。

「安井まどか。彼氏は……今はいねーか」

 よし!! チャンス!!

「やべ! ほら、なんかこっち睨んでやがる」

 キャプテンは怖いって言ったけど、俺には全く真逆にみえる。

 あっ! 帰ったか……。

「安井先輩ね」

 俺は先輩が帰った体育館のドアをみつめ呟いた。

…………ん?
そういえばキャプテン、あの先輩が内山先輩をみてたとか誤解してなかったか?
はっ?
マジか!?
キャプテンって、どっかアホっぽいって思ってたけど、マジでアホ決定だな!
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