君を好きになるって、はじめからわかってた。
これまでの経緯を説明すると結菜も笑だした。
「いやいや、あたしは嬉しいよ」
「なにが?」
「まどかが、人と絡むの滅多にないしね~。いいんじゃない」
「私は卒業まで平凡にいたいんだけど」
「まどかは、もっと欲張りになりなよ」
欲張りに……か。
あれ?
私いつからだろ。
欲しいものを欲しいって言わなくなったのは。
我慢が普通になったのは。
改めて考えると、幼稚園の頃はまだお菓子でも欲しいって言ってたっけ。
昼休み。
お弁当を食べ終わって私がトイレを済ませ教室に戻ってくると、結菜が机にうつ伏せたままため息をついた。
どうせまた岩泉のことで悩んでるんだろうな。
「結菜、まだ告らないの?」
もういい加減教えてもいいかな。
でも自分で言わなきゃだよね。
「だってさぁ……」
ここはビシッと言っとくか。
「いつまでもそんなんじゃ、誰かに持ってかれるからね」