君を好きになるって、はじめからわかってた。

 その一言でいとも簡単に告白した結菜のノロケ話を、私はようやく荷が降りたという気持ちで深夜まで聞いていた。
 翌日がクラスマッチだと思い出したのは、睡魔と戦っていた携帯の向こうで結菜がはしゃいだからだ。


 はぁぁぁ。
 眠い。

 その一言しかない。
『若い頃なんて朝まで起きてたって全然平気だったわ 』
という母の言葉が浮かんだけど、超低血圧な私には無縁だよ。

 まぁでも私はサッカー選択だから、バスケとバレーに比べたらまだいいか。
 でもその前に仮眠したい。

 学校の下駄箱の前で、呆然となりながらも考えた。

 あそこの階段なら大丈夫かな。

 私は去年みつけた秘密の場所へと向かう。
 そこは3年の校舎の1階奥にある資料室の前。
 朝から用事のある人はいないし静かだから結構穴場だ。
 その資料室に近づくと、見覚えのある鞄がみえた。

 あれって……。

 そう思った時にはもう、眠気なんて吹っ飛んでたと思う。
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