青春はチョコレートの味がした
職員室に行くとすぐに担任を名乗る若い女教師が来て教室まで案内してくれた。
教室の前までいくと
「ちょっと待っててね」
と言い残し先に教室へと消えた。
きっと俺のこと少し話してから俺を教室に招くつもりなのだろうが悲しいかな
廊下は教室から丸見えなのである。
当然教室の中から興味しんしんでこちらを見つめてくる生徒視線が痛い。
先生早く入らせてくれ!!
「じゃあ入って自己紹介してもらいましょうか!」
女教師がそう言ってようやく俺は教室に入ることができた。
「えっと…N高から転校してきました狼谷透也です…よろしく……お?」
「「「「「お?」」」」」
俺が疑問形になったことで何人かの生徒が復唱する。
なんだノリがいいやつがいっぱいいて楽しそうなクラスだ……っていやいや違う 違わないけど今は違う。
そう、いるのだ。
一番奥の窓ぎわといったマンガみたいな席にマンガみたいなシュチュエーションでマンガみたいな人物が…。
「かげづか…ゆ…う?」
合ってるか合ってないかも定かではない名前を呼んでみる。
するとパチッと青紫の瞳がこちらを向いた。
「あら?知り合いなの?」
以外そうに女教師は目を見開く。
「あ…いえ、さっき学校に来たとき靴箱んとこで会ったんです」
俺がそう言うと
「そうなの、じゃあちょうどいいわ!狼谷くんの席は陰塚さんの後ろにしましょう!」
と、女教師が言う。
うぇ〜まっじぃ〜?ちょっと美味しい展開過ぎない〜?つか、陰塚「さん」って呼んでたってことはつまり女子なわけで……。
っていやいや!俺には友香という心に決めた人物がだな……。
そう思いながら席につく。
瞬間
「なぁ」
「うぇ?」
またまたいきなり話してかけてくるもんだから変な声がでた。
「おれと席変わってくんね?おれ後ろがいいしお前も隣いたほうが何かと楽だろ?」
………自信なくなってきた…男かも……。
「あー…いいけどちょっと失礼なこと聞いてい?」
陰塚はなんてふうもなくコクンとうなずく。
「いや、あのですね…大変失礼なのですが…女の子で合ってますかね?」
やっべっ、聞いちまったよ!
「合ってる」
陰塚はそう言って
だけ?とつづける。
「えっ、あ、おう」
こんなことでしどろもどろになるとか…
我ながら情けない………(泣)
そうこうしている間に陰塚はテキパキと荷物を取り出しカバンに入れて席を立つ。
俺はまだカバンから教材を机に入れてなかったのですんなり座席チェンジができた。
けどこれ先生に注意されたりしないんだろうか?
そして小柄な陰塚はこれで黒板が見えるのだろうか?
陰塚いわく「先生は気づいてもあんま気にしない。注意されない。黒板は見える。角度があるから。」とのことだ。
ふむ。まぁ納得出来る理由だかなんていうか…やっぱ失礼極まりないけど男友達と話してるみたいだ…。
するとフワッと、なんだかかいだことのある匂いがした。
何の匂いだ?これ?
この匂いは授業が終わるまで俺の周りを漂っていた気がした。
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