きっとこの輝きは消えないでしょう。
どのくらい走ったのだろう。
ここはどこなんだろう……。
見渡せば辺り一面深い緑。
森の中ということは間違いないだろう。
時間もそんな経ってないだろう。
そう思うのはこの暗闇にいるからかもしれない。
まるで異世界。
それなのに明かり何一つないその場所に、不覚にも懐かしさを憶えた。
なんでかな。
この湿った森の匂いが脳の奥をくすぐる。
──ガサッ。
音に肩を上下させた。
ナニ!?何かいるの!?
動物?
少し慎重になりながら、歩みはじめる。
暗くて何も見えないから厄介だ。
真上に月が見えてれば心強かったのに。
これ、絶対つけられてるんじゃ……?
立ち止まって身構えた。
「誰!そこにいるのは。隠れてないで、出てきなっ!!」
声は怖いくらい静かな場所に大きく響いた。
──ガサガサ。
黒い影が視線の先に見えた気がした。
そこだけを一点に見つめた。
大きく動く影。それがだんだんとゆっくり近付いてきた。
「……よぉ。チビ」
とても懐かしい声に見開いた。
え……な、んで、ここに……。
「相変わらずだなあ、その馬鹿でかい声」
姿を現した、赤く光る鋭い目が笑った。