きっとこの輝きは消えないでしょう。





どのくらい走ったのだろう。


ここはどこなんだろう……。





見渡せば辺り一面深い緑。


森の中ということは間違いないだろう。


時間もそんな経ってないだろう。



そう思うのはこの暗闇にいるからかもしれない。

まるで異世界。



それなのに明かり何一つないその場所に、不覚にも懐かしさを憶えた。





なんでかな。


この湿った森の匂いが脳の奥をくすぐる。





──ガサッ。





音に肩を上下させた。




ナニ!?何かいるの!?


動物?




少し慎重になりながら、歩みはじめる。




暗くて何も見えないから厄介だ。


真上に月が見えてれば心強かったのに。



これ、絶対つけられてるんじゃ……?



立ち止まって身構えた。



「誰!そこにいるのは。隠れてないで、出てきなっ!!」





声は怖いくらい静かな場所に大きく響いた。





──ガサガサ。



黒い影が視線の先に見えた気がした。


そこだけを一点に見つめた。



大きく動く影。それがだんだんとゆっくり近付いてきた。





「……よぉ。チビ」




とても懐かしい声に見開いた。



え……な、んで、ここに……。




「相変わらずだなあ、その馬鹿でかい声」



姿を現した、赤く光る鋭い目が笑った。






< 82 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop