再会からそれは始まった。
南一徹は、おそらくアメリカに行くまでの仮住まいとして、私のマンションを選んだ。
ただそれだけ。

いつ行っちゃうの?ってきいても、都合の悪いことはちっとも答えてくれない。

聞いてくれるなという無言の圧力。

本当に憎たらしい。
私は後ろからいーっと歯をむき出して思いっきりいやな顔をしてやる。

本当に同居人としてしか思っていないようで、あれから私に指一本触れることもしない。
別に、こっちもそんな期待はしていないけど!

しかし、そうはいっても、なかなかこれはこれで、南一徹と暮らすって最高。

部屋もトイレもお風呂もピカピカだし、毎朝美味しい朝ごはんが食べられる。
今日は洋食。
すっごく美味しいバケットとオムレツとサラダとカフェオレとフルーツ。 
シンプルなんだけど、オムレツはふわっふわだし、サラダもボウルにたっぷりシャキッとしてて美味しい!

「おいしい・・・。」
私がそう言うと、彼は無表情で
「当たり前だ。」
と言う。

「ちなみに、このバゲットは、53階のフレンチレストランのものだぞ。」
「どおりでー!すっごくおいしい・・・。」

もうやめられないわ。この生活。
経済的にも節約できるし、そのうえ美味しい朝食は毎日食べられるし、私の健康管理までされちゃっている。

南くんを見ていると、わかった。
一流の人は、毎日必ず同じことをこつこつと続けている。 
ほんの五分、十分、通勤前にトイレの掃除やお風呂の掃除をするだけで、毎日さわやか。
日常のことをおろそかにしない。
朝が早い。前の日どんなに遅くても接待で飲んでいても、朝早く起きる。
決めたことは、絶対にさぼったりせず手を抜かない。

私と正反対の人間だわ。
尊敬。


いやいや!もちろん、私がなんにもしていないわけではないよ!
ちゃんと私も家事をやってますから!
洗濯機回したり、食洗器回したり、ルンバのスイッチ押したり。
ははは、全部機械まかせか。

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