再会からそれは始まった。

花には、やっぱり俺が必要だと思う。

こいつは、仕事が入って夢中になると、100パーセント脳がそっちにいってしまうようだ。

帰ってくるなり、風呂に入るより寝たい、、、という花を無理やりバスルームに押し込んだ。

風呂からあがってきた花に、フルーツと生野菜で作ったスムージーを飲ませ、髪の毛をドライヤーでかわかしてやる。

「ありがと。南くん……。」

そう言いながら、こいつはもうこっくりこっくりうたた寝をしている。

お前は、ネコか?

俺は苦笑する。

こういう花のズボラなところをすくい上げて、世話をしているのが楽しくてしょうがない。
次の日の朝ごはんは何を食わせてやろうと考えるのも楽しい。

俺は、やっぱり変態なのか?

俺無しではいられないようにしてやる。そんな気持ちもあった。



たまに休日のブランチに、花は元気よく起きてきて、「いつも美味しい朝ごはん作ってくれているから」と、ささっと冷蔵庫にあるもので簡単に食事を作ってくれる。

トマトソースのパスタだったり、納豆野菜ビビンバだったり。
それが妙に美味い。
先週は、海南鶏飯だったな。 なんで、こんな本格的なアジア料理が、残り物でできちゃうんだ?
しかも、この短時間で? 聞いたら、一気に炊飯器で作れるメニューらしい。

この間なんか、アルプスの少女ハイジに出てくる白パンだといって、焼きたてを俺の前に差し出してきた。
かじったら、その中に俺が博多出張でもらってきた明太子にチーズを加えて焼き上げていた。
さすがに、スイスに明太子はないだろ〜がと突っ込みつつ、あまりのうまさに驚いた。

このセンスとひらめき。
こいつは、それで瞬間的に最高のものを作ってしまう。

俺みたいに基本に忠実、こだわりぬいた食材のリサーチ、科学的に考えた調理法をまるで無視して、その飛び越えたところで美味しいものを作り上げる。

こういう時、俺は花に感服してしまう。

俺が花を必要としているんじゃないのか?


 



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