再会からそれは始まった。
今朝は、同じ地下鉄に乗って通勤することになった。
いつもは、私はフレックスで遅めの出勤だけれど、この日は朝一番で印刷所に行かなければならなかったから。
たまにこういう時があるんだけど、ラッシュの時間帯にこの地下鉄に乗るのはちょっと憂鬱。
南くんは、いつもこのラッシュ時に通勤しているんだよね。
一緒に駅まで歩きながら、妙な気持になった。
どうして、南くんは私と一緒に暮らしていて大丈夫なんだろう。
私は、彼のボクサーショーツを干すとき、やっぱりドキドキしちゃうし、お風呂からあがって濡れた髪をごしごしタオルで拭くしぐさにずきゅんとくるし、寝癖のついた頭であの低い声でおはようと言われると萌える。
(もちろん、あの時みたいに一緒のベットでは寝ない。今は私はベットで、南くんは下で布団で寝る。)
シェアハウスみたいで、楽しい。
気も合うし、居心地が良くて学生に戻ったような気分。
こうでもしなかったら、お互い忙しくて会う事もできないけれど、帰ってくる場所が一緒だと毎日顔を合わせられる。
でも、それだけ。
そのことを考えれば考えるほど、私は落ち込んでしまうので、『南一徹、私に性欲すら感じない事案』については、頭の隅に追いやって過ごすようにしていた。
そして、いつか南くんが出ていくとなった時のことを考えると、もう私はどうしていいかわからずうろたえてしまう。
このままでいいのだろうか。
でも、ずっとこうしていたい。
「この時間って、混んでるね。」
「ああ。よくみんな通ってるよな。」
「あのう。一緒にこうやっていたら、まずいんじゃないの?」
「別に。」
南一徹は、少し怒ったように腕時計を見る。
そのスーツ、高級腕時計でよく地下鉄なんかに乗るよね。
黒塗りハイヤーかなんかでしゃっちょさんは通勤でしょう?って前に言ってやったことがある。
彼は、ラッシュなんて経験したことないから楽しいって、確か言ったんだった。
さすがセレブの考える事は違う。
わーっと人の波に押され、私は南一徹の分厚い胸板にぎゅうっと押し付けられるように地下鉄に乗り込むかたちとなってしまった。
「ごめ・・・。」
なんとかちょっと離れようとしたけれど無理。
「・・・・・・。」
ふと、あの一回だけ一緒にベットで寝た時のことを思い出してしまう。
うっすらとムスクの良い香り。
私は、高鳴る胸の鼓動が南くんに聞こえてしまうんではないかと心配する。
一緒に住んでるのに、こんなに密着するのは初めてと言っていい。
ど、ど、ど、どうしよう。
そうっと、南くんを見上げると、またあの不機嫌そうな顔。
そんなにいやなら、車で通勤すればいいのに。
でも、次の駅までの三、四分。
このまま時が止まってしまえばいいのに。そう思った。
次の駅について、たくさんの人がこの駅にも降り立ち、そしてまた乗り込んでくる人もまた多い。
今度はその波にのまれて、私も一緒に流されそうになってしまうところを、ふいに南一徹は私の腕をつかみんで自分のところに引き寄せた。
私は、びっくりして彼を見上げる。
モタモタしてるなと言わんばかりに、私を怒った顔で見下ろして、回り込んで私を壁際に寄せる。
なんか、これって壁ドン?
私は、顔が火照る。あわてて顔を見られないようにうつむく。
彼に守られるように壁際にすっぽり大きな身体に包み込まれる。
本当に、このまま、ずっとこの地下鉄が走り続けていればいいのに。
いつもは、私はフレックスで遅めの出勤だけれど、この日は朝一番で印刷所に行かなければならなかったから。
たまにこういう時があるんだけど、ラッシュの時間帯にこの地下鉄に乗るのはちょっと憂鬱。
南くんは、いつもこのラッシュ時に通勤しているんだよね。
一緒に駅まで歩きながら、妙な気持になった。
どうして、南くんは私と一緒に暮らしていて大丈夫なんだろう。
私は、彼のボクサーショーツを干すとき、やっぱりドキドキしちゃうし、お風呂からあがって濡れた髪をごしごしタオルで拭くしぐさにずきゅんとくるし、寝癖のついた頭であの低い声でおはようと言われると萌える。
(もちろん、あの時みたいに一緒のベットでは寝ない。今は私はベットで、南くんは下で布団で寝る。)
シェアハウスみたいで、楽しい。
気も合うし、居心地が良くて学生に戻ったような気分。
こうでもしなかったら、お互い忙しくて会う事もできないけれど、帰ってくる場所が一緒だと毎日顔を合わせられる。
でも、それだけ。
そのことを考えれば考えるほど、私は落ち込んでしまうので、『南一徹、私に性欲すら感じない事案』については、頭の隅に追いやって過ごすようにしていた。
そして、いつか南くんが出ていくとなった時のことを考えると、もう私はどうしていいかわからずうろたえてしまう。
このままでいいのだろうか。
でも、ずっとこうしていたい。
「この時間って、混んでるね。」
「ああ。よくみんな通ってるよな。」
「あのう。一緒にこうやっていたら、まずいんじゃないの?」
「別に。」
南一徹は、少し怒ったように腕時計を見る。
そのスーツ、高級腕時計でよく地下鉄なんかに乗るよね。
黒塗りハイヤーかなんかでしゃっちょさんは通勤でしょう?って前に言ってやったことがある。
彼は、ラッシュなんて経験したことないから楽しいって、確か言ったんだった。
さすがセレブの考える事は違う。
わーっと人の波に押され、私は南一徹の分厚い胸板にぎゅうっと押し付けられるように地下鉄に乗り込むかたちとなってしまった。
「ごめ・・・。」
なんとかちょっと離れようとしたけれど無理。
「・・・・・・。」
ふと、あの一回だけ一緒にベットで寝た時のことを思い出してしまう。
うっすらとムスクの良い香り。
私は、高鳴る胸の鼓動が南くんに聞こえてしまうんではないかと心配する。
一緒に住んでるのに、こんなに密着するのは初めてと言っていい。
ど、ど、ど、どうしよう。
そうっと、南くんを見上げると、またあの不機嫌そうな顔。
そんなにいやなら、車で通勤すればいいのに。
でも、次の駅までの三、四分。
このまま時が止まってしまえばいいのに。そう思った。
次の駅について、たくさんの人がこの駅にも降り立ち、そしてまた乗り込んでくる人もまた多い。
今度はその波にのまれて、私も一緒に流されそうになってしまうところを、ふいに南一徹は私の腕をつかみんで自分のところに引き寄せた。
私は、びっくりして彼を見上げる。
モタモタしてるなと言わんばかりに、私を怒った顔で見下ろして、回り込んで私を壁際に寄せる。
なんか、これって壁ドン?
私は、顔が火照る。あわてて顔を見られないようにうつむく。
彼に守られるように壁際にすっぽり大きな身体に包み込まれる。
本当に、このまま、ずっとこの地下鉄が走り続けていればいいのに。