再会からそれは始まった。
金沢、あいつはどのくらいでこの噂を広めてくれちゃうんだろうか?
そう思ったらちょっと楽しくなってきた。
そんな事を考えながら、花を見つめる。
この場所で再会したんだったな。
「やっぱり帰る」と、あの東京の夜景が見渡せる最上階のラウンジで、花にメッセージを打ちながら、俺は、もう心に決めていた。
もしかしたら、今朝のあの地下鉄の中のちょっとした出来事が、俺たち2人に何か変化をもたらしたのかもしれない。
こんな風に誘導していってどうする?
姑息だろ?こんなの?
俺は、自分の言葉で先に花に言うべきことがあるだろう。 そう思う。
「出よう。花。」
花を連れて、俺は店を出る。
B.C.square.Tokyoの夜のライティングは、他のどのビルよりも美しい。
俺は、目の前のビルを仰ぎ、一息ついて、花の手を握って歩き出す。
「花。」
「…………。」
「一緒にアメリカに来て欲しい。」
「え………。」
「一緒にアメリカに行こう。」
花は、ビックリした顔で俺を見上げて立ち止まる。
「な、なんで?」
「なんでって、俺にはお前が必要だからだ。」