再会からそれは始まった。
この期におよんで、きっちりと朝ごはんを作ってしまう自分が恨めしい。
習慣って恐ろしいな。

花は、そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、美味そうに俺の作った味噌汁をすすっている。

「ねえ、私ってほんとにアメリカに行くの?」
ぼんやりそんな事を花が言う。
実感がわかないのだろう。無理もないか。

「いやか?」

「・・・・・・・。」
花は困ったような表情で箸を置く。

今夜、さらに俺無しじゃいられないくらいお前の身体を仕込んでやる。
強い視線を花に投げかける。
「・・・・・・・。」

花は、俺の目を真っ直ぐ見て、ゆっくりかぶりを振って、静かに覚悟を決めたように言う。
「ううううん。私、行くよ。」

「・・・・・・・。」
少しあっけにとられて、慌てて目をそらす。
嬉しい。。。
「ほっぺたに米粒ついてるぞ。」

花は、笑いだす。

「なんだよ?」
俺はムッとして言う。

「また、そうやって怒った顔して。」
花はくつくつと笑いをこらえる。






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