再会からそれは始まった。

なんとかキャバクラのお誘いは免れた。
まあ、俺がスティーヴンの元へ戻ると聞いて、身構えたんだろう。
二人で、そういう店へこれから繰り出してくれればいい。
下のエントランスまで見送り、俺は、にこやかに笑顔で二人を黒塗りのハイヤーに乗せる。

「まあ、南くん、今後とも期待しているよ。」
「スティーヴン社長にもよろしく伝えてくれたまえ。」

「ええもちろんです。今日は、本当にお越しいただきましてありがとうございます。気に入っていただけましたら、ぜひまたご利用お願いいたします。」
深々と頭を下げ、礼儀はとおす。

「ああ。ありがとう。」
二人は、手を挙げる。
ハイヤーの扉は閉められ、夜の街へと消えていく。

車が見えなくなったところで、頭をあげる。
ため息をついて、肩をゆっくりまわす。

若造め。生意気な。
あんなに若くて何ができる?
うまくスティーヴンに取り入ったな。

・・・ぐらい思われているんだろう。
まあ、なんとでも思えばいい。


腕時計をみると、23時過ぎ。

ふと顔をあげると、花と秘書の松山と金沢がビルのエントランスの向こう側に立っていた。

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